ChatGPT で考えて Claude Code に実装させる引き継ぎ方法
短い答え
会話ではなく、目的・背景・完了条件・仕様書の 4 点を同じ形に固めて置く。呼び名はひとつだけ決めて、実装側にはその番号だけ渡す。
ターミナルを開いて、さっきと同じ説明を打ち始めた
ChatGPT で 1 時間くらい話して、やり方を決めた。案は 3 つあって、2 つは捨てた。納得してターミナルを開いた。そこで、同じ背景をゼロからもう一度打っている自分たちに気づいた。
会話をそのまま貼る方法も試した。長い。しかも捨てた案が会話の中に残っているので、実装側がそれを拾って作り始めたことがある。「それは却下したほうだ」と止めるまで、10 分くらい動いていた。
渡したいのは会話そのものではない。決まったこと、あえて決めなかったこと、終わりの条件。会話はそれを含んでいるが、同じ量の試行錯誤も含んでいる。
そして決まったことは、会話の中に溶けている。どれが結論でどれが途中の案かを区別できるのは、書いた本人とそのときの文脈だけだ。受け取る側の AI には、どちらも同じ文字列に見える。
貼る、書く、書かせる
試した順に書く。全部ある程度は使えた。
会話を貼るのが一番速い。短い相談なら今でも貼る。長くなると却下した案を拾われるので、貼る前に自分で要約することになって、結局打ち直しに戻った。
次にリポジトリに Markdown の仕様書を置いた。これは良かった。AI も読めるし、残るし、差分も見える。困ったのは実装が終わったあとだ。使い終わった仕様書が溜まり続けて、どれが生きている仕様なのかがファイル名にしか書かれていない。docs/ が増えるほど探す時間が増えた。
Notion に PRD を書くのも試した。人間が読むには一番読みやすい。ただ実装 AI に読ませるたびに、私たちがコピーして貼っていた。貼る作業が残るなら、打ち直しているのとあまり変わらない。
ChatGPT に GitHub Issue を書かせるのは効いた。番号が付くのが大きい。番号で呼べるものは説明しなくて済む。ただ Issue 本文は人間向けの文章で、完了条件はチェックボックスの列になる。実装 AI が「どこまでやれば終わりか」として読める形に整えるのは、毎回人の手作業だった。
何も渡さず口で説明する日もあった。一番消耗する。
どこで噛み合わなくなったか
どれも同じところで止まった。形が決まっているものは、渡すまでに人が書く手間がかかる。手間がかからないものは、形が決まっていない。貼るだけで済む会話は却下した案まで一緒に渡るし、完了条件は会話の中に埋まったままだ。
私たちが欲しかったのは、考えている側が会話の流れのまま置けて、作る側が読むときには形が決まっているものだった。
いまは会話の終わりに一言入れるだけ
ChatGPT と話している途中で「それ Dazbench に入れといて」と言う。タイトルだけでなく、目的・背景・完了条件・実行時の注意まで整理された状態でカードになる。私たちがゼロから説明文を書き直さない。会話の文脈を読んでいる AI のほうが、私たちより早く書く。
要件定義を作る案件では、ChatGPT とまとめた Markdown をそのままカードに添付している。「何を作るか」と「どう作るか」が同じ 1 枚に乗る。あとから実装する側が別のチャット履歴を探さなくていい。
カードは作った瞬間に完成していなくていい。タイトルと 2 行のメモだけのカードが、別の日の会話で目的と完了条件を足されて、ようやく渡せる形になることが普通にある。解像度が上がるたびに新しいカードを作らない。同じ番号のカードを育てる。
ターミナル側で打つのは番号だけだ。「dz57 を実装して」。背景の説明はもう打たない。
Dazbench ではこう設計した
欲しかったのは 2 つだけだった。チャットの中で「入れといて」と言えること。ターミナルでは番号だけ言えば済むこと。
だから渡す形を 4 つに固定した。目的、背景、完了条件、添付した仕様書。呼び名はカード番号ひとつ。どちらの AI も同じ 4 つを読み書きする。
- ChatGPT を一度つなぐ。設定の「アプリ」から開発者モードで外部接続 (MCP) として追加する。claude.ai は追加設定なしでつながる。
- 会話の終わりに「これ Dazbench に入れといて」と言う。AI がカードを作って、目的・背景・完了条件を埋める。
- 仕様書があれば「それも添付しといて」と言う。Markdown のテキストをそのまま同じカードに付けられる。1 ファイルのサイズには上限があるので、大きいものは Web から上げる。
- カードに
dz57のような番号が付く。ここから先、この仕事の呼び名はこの番号になる。 - Claude Code には「dz57 を実装して」と打つ。実装側は番号からカードを開いて目的・背景・完了条件を読み、添付があればその本文もそのまま読む。
- 着手したら状態が「進行中」になる。満たした完了条件は 1 件ずつチェックが付いていく。
- 完了にできるのは人が承認したあとだけ。AI が自分の判断で完了にすることはない。
- 方針が変わったら、また ChatGPT 側で同じ番号のカードを開いて直す。新しいカードを作らない。
考える AI と作る AI のあいだに、同じ形のカードが 1 枚ある。これだけで引き継ぎは一言になった。
実際に何が変わったか
同じ背景を二度打つことがなくなった。ターミナルで打つのは番号と動詞だけになった。
却下した案を拾われる事故は、形を固めてからは起きていない。カードに乗るのは決まったことだけで、会話の試行錯誤は入らない。
仕様書の置き場を探さなくなった。仕事と仕様書が同じ 1 枚にあるので、docs/ を眺める時間が消えた。
条件と、解けていないこと。ChatGPT 側は開発者モードで一度つなぐ設定が要る (公式アプリとして公開されれば不要になる見込み)。カードの質は、そのチャットで決まったことの質を超えない。曖昧なまま「入れといて」と言えば曖昧なカードが 1 枚できるだけで、実装側はその曖昧さのまま作り始める。過去のカードや添付を ChatGPT 側から読み戻す使い方は、私たちは試したところまでで、うまく回っているとは言えない。AI 側はつないだ時点の機能一覧を覚えるので、ツールが増えてもつなぎ直すまで古い一覧のままだ。
よくある質問
- 会話をそのまま貼るのでは駄目なのか
- 短い相談なら貼ります。長い会話だと却下した案が本文に残っていて、実装側がそれを拾うことがありました。私たちの場合は 10 分ほど間違った実装が進んでから気づきました。渡すのは決まったことだけにしたほうが速いです。
- ChatGPT 以外の AI でも同じことができるのか
- claude.ai は追加設定なしでつながります。ChatGPT は設定のアプリから開発者モードで一度だけ追加します。作る側は Claude Code でも Codex でも、同じカードを番号で読めます。
- 仕様書はカードに書くのと添付するのとどちらがよいか
- 短い完了条件はカードの完了条件に書き、長い要件定義は Markdown で添付しています。添付にすると、実装側は後のセッションでも本文をそのまま読めます。1 ファイルのサイズには上限があるので、大きいものは Web 画面から上げます。